飲食店(自営業者)の破産申立て
依頼主 60代 男性
相談前
依頼者様は、飲食店の経営が苦しくなり、リース代や家賃のために借入を膨らませてしまい、それでも支払が追いつかなくなって、飲食店の賃貸物件から退去させられてしまい、相談にいらっしゃいました。長期に亘って苦しい経営の中で奮闘されていたからか、いわゆる抑鬱状態になってしまっておられました。
相談後
初回の相談で破産手続きを取る方針となりましたが、なかなか、お身体が思うように動かず、破産手続きを取るための資料をご準備頂くまでに時間を要しました。その間、一貫してご質問や不安な点についてサポートさせて頂きました。
ただ、自営業者の場合には多くが破産管財事件となる(その場合、依頼者様の負担金額が20万円以上増大します)ところ、裁判所に本人の状況やそれまでの店舗の稼働状況を細かく説明し、破産管財事件にならずに免責許可を受けることができました。
竹村 翔弁護士からのコメント
この事件のポイントは3つあると思います。 まずは、早期に方針をお決め頂いたこと。これはその後の準備にとって極めて重要です。依頼者様は借金からの開放を希求されていたので、ご説明の上、破産手続きを選択して頂きました。 第2に、精神的に不安定な状態の際には、資料準備の督促を控えたこと。これまでの苦闘のご生活を考えれば、お心への負担は極めて大きいものと思います。なるべくご負担の少ないよう、手続きを進めることができました。この取り扱いの前提には、依頼者様との信頼関係があります。体調がよければきちんとご準備を進めて下さる方だったからこそ、私も依頼者様を信頼してこのような取り扱いをさせて頂いたものです。 第3に、自営業者でありながら破産管財手続に移行しなかったこと。これは依頼者様のそれまでの取引態様などに寄るところが大きく、その点を裁判所に丁寧に説明することで、破産管財手続が取られなかったのだと思います。破産管財人としての経験を生かして、裁判所が気にする点を丁寧に説明することを心がけました。 依頼者様に破産管財費用という大きな負担を課さずに済んだ事案として思い出深い事案でした。 何より嬉しかったことは、この手続きが終わる頃、依頼者様は抑鬱状態から回復され、前向きな気持ちで日々の生活を送ることができるようになったことです。法律問題の解決が依頼者様の精神状態を回復させる一つの要素となっていれば、弁護士としてこれに勝る喜びはありません。